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肉体から意識を分離(DIVIDING)し、意識とコンピュータと直接リンク(LINK)させるシステムを開発した。

……DIVIDING-LINK SYSTEM……

まだ極秘扱いであり、一般には一切公開されていない技術だが、既に実用レベルまでに開発が進んでいる。
実用化されれば、コンピュータでは処理が出来ない様な人間的な判断が伴う情報システムの発展が期待できる。

だが、そのシステムの中枢を担うホストコンピュータが、自らを [NEO-DIVIDER]と名乗るハッカーにハッキングされた。

研究者達はあらゆる手を尽くして防護策を施すが、そのハッカーの対応速度は尋常ではなく、次々とセキュリティを打破していく。
全てのセキュリティが突破され、ホストコンピュータにアクセスされるのも時間の問題だ。

そこで研究者達は相手ハッカーのログを辿り、開発途上のD.L.S.で逆に相手に攻撃を仕掛けるという作戦を決行する。
D.L.S.用Plugin [Genes]を実験体 [PC-T4]の [DIVIDER]に添付し、ネットワーク上にアップロードし苦闘の結果、問題を解決するに至る。
(↑前作『Crisis/Divider』より)

時は流れ――――

事件から数十年。
D.L.S.の技術は世界に解放され、世間に浸透していった。

そんな中、このD.L.S.を使った、ネットワークゲームが登場する。
その名は、

『VisionaryWings』

基本は少人数型のネットワークアクションゲームだが、ユーザーがゲームサーバを担当する事も出来る。
そして、最大の特徴は、ユーザーがD.L.S.を利用する事で、リアルタイムにそして高速にゲームの進行状況を変化させる事が可能な点だ。

VisionaryWingsは一気に広まった。

カレンもまた、VisionaryWingsをプレイしているユーザーの一人。
彼女はいつも通り、D.L.S.を装着し、VisionaryWingsにログインする……。